相続コラム

2025/10/28 相続コラム

相続で弁護士に依頼すべき理由の解説

 このホームページをご覧になっている方は、遺産相続に関して何らかのお悩みがある方ではないかと思いますが、弁護士に依頼することには抵抗があるという方も多いのではないでしょうか。

 はたして遺産相続の問題で弁護士に依頼する必要があるのでしょうか?

 結論から申し上げますと、弁護士にご相談にこられるほど親族との間で考え方に違いが出ているようであれば、弁護士に依頼された方が良いといえます。

 この理由について、遺産分割協議に携わる弁護士がご説明します。

 

当事者同士の話し合いの場面

 遺産相続をめぐる対立があるときにまず把握しておくべきこととして、遺産の分け方に関する当事者の理解は、往々にして間違っているということです。

 これは、当事者の一方であることもありますし、両方とも間違っていることもあります。

 それくらい、遺産の分け方のルールは分かりにくいのです。

 例えば、遺産を分けることを「遺産分割」といいますが、遺産分割を法律的に説明すると、「相続によって生じた遺産共有の状態を解消すること」となります。

 この時点で、多くの方が何を言っているのか分からないという状態なのではないでしょうか。

 しかし、この意味が分かっていないと、遺産の管理費用が出たらどうする?、遺産を他人に譲り渡したいときはどうすればいい?といったことが分からなくなるほか、遺産分割協議を何のためにやっているのかも分からなくなってしまいます。

 遺産相続の場面では、他にも「寄与分」とか「特別受益」といった概念が出てきますが、これらも、なんとなくイメージをつかむことはできると思いますが、正確に分かっていないと、他の親族との間で考え方に違いが生じてトラブルになることがあります。

 間違った知識を正しいと信じ込んでしまっている場合、それまでは関係がそれほど悪くなかったのに、相続の諍いを原因として一気に関係が悪化するというケースもあります。

 

弁護士が介入するメリット

 遺産分割の場面では、当事者の誤解を原因とするトラブルが非常に多いので、まずはこの誤解を解くことが肝要です。

 そのために、ルールをよく知る弁護士がが間に入ることが必要となってくるのです。

 弁護士が説明することで相手の親族が納得してくれることもあれば、納得してもらえずに調停手続をとらなければならないこともありますが、いずれにせよ、ルールを熟知した弁護士が当事者の主張を整理することで、スムーズに話を進めることが可能になります。

 これに対して、当事者から説得しようとしても、既に感情的な対立が生じていることも多いため、火に油を注ぐような結果になることも多いのです。

 

遺産分割調停の場合

 当事者同士で話がまとまらない場合、調停という手続きをとることができますが、調停手続では弁護士は不要なのでしょうか。

 調停手続とは、裁判所で行われる話し合いのための手続きで、間に調停委員という第三者を介在させることで、合意の成立を目指すものです。

 通常、民間から選任された2名の調停委員を間に挟み、相手の当事者と直接話をするのではなく、この調停委員に言い分を話し、調停委員から相手の当事者に話を伝えてもらいます。

 この調停委員は、遺産分割のルールをある程度熟知しており、中立な立場から当事者の言い分を整理したり、場合によっては説得を行ったりします。

 調停委員にはどんな問題があるか

 このように、調停委員が間に入ってくれるのであれば、弁護士に依頼する必要はないように思えます(私自身、この業務を始める前はそう思っていました)。

 しかし、実際に調停手続に携わってみると、調停委員は、中立な立場ではあるのですが、良くも悪くも公平であるとは限りません。

 中立な立場であるということは、一方に肩入れすることはできないということを意味します。

 したがって、当事者を説得するにしても限度があります。

 また、当事者の一方が、実は自分にとって不利な内容となっているのに、それに気付かずに合意しようとしているような場合、調停委員から「それはやめた方がいいですよ。」とは言い難いでしょう。

 その他、調停委員が、必ずしも法律の仕組みについて正確に理解しているとは限りませんし、感情に流されてしまうということもあり得ます。

 遺産分割協議を行うことは一度の人生の中で何度もあるものではありませんが、これを調停委員を信頼して委ねてしまうのには危うさを感じますので、弁護士にご依頼いただくことをおすすめします。

まとめ

 遺産分割のルールは、皆さんが考えている以上に複雑で分かりにくいものです。調停をしても、必ずしも自分にとって最適な結果が得られるとは限りません。比較的親族との話し合いが良好であれば、当事者同士ですり合わせをして解決できると思いますが、それが上手くいかずに揉めてしまっているのであれば、弁護士に依頼していただくことをおすすめします。

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