2023/01/23 解決事例
未公開株式や不動産を含んだ遺産分割の事例
事案の概要
本件は、依頼者の父(会社経営者)が死亡し、依頼者と母・長男との間で遺産分割協議を行うというものでした。
依頼者は、母・長男から、生前に父から多額の財産を受け取っていたなどと事実と異なることを主張され、まともに話し合いができない状態となったため、依頼となりました。
特別受益
相手方からは、依頼者が、父親から生前に高額の時計等の動産を複数受領していたのではないかと主張されていましたが、事実と異なる上、何も根拠となるようなものもなかったため、特に考慮しないこととなりました。
遺産の評価
本件では、預貯金はあまりなかったのですが、未公開株式と不動産がありましたので、この分割方法が問題となりました。
未公開株式
未公開株式を含む遺産分割の場合、まず、どうやって分けるのかが問題となります。
残された会社を受け継ぐのは、一人だけで、他の相続人は経営に関心がないという場合が少なくありません。
本件も、会社を受け継ぐのは長男である相手方で、会社の経営に加わる意思はありませんでした。
このような場合、こちら側が株式を取得してもかえって後々トラブルになりかねないので、会社を受け継ぐ人に全て株式を取得してもらうことにしました。
株式を一部の者に取得させる場合、遺産を公平に分けるためには、株式を適正に評価することが必要になります。一般的な方法として、相続税の申告時の評価額を用いることが考えられます。貸借対照表を元に算出することもあります。
本件でも、相続税申告書の記載にしたがって算出しました。
不動産
また、不動産についても相手方に取得してもらうことになりましたので、不動産の価額をどう評価するかが問題となりました。
この点は、固定資産税評価額(÷0.7)を元に計算することで合意することができましたので、それによりました。
結果
以上のような調整を行った結果、裁判手続きを行うことなく、遺産分割協議が成立することになりました。